【労働】震災ホットラインの深刻な内容

大震災と原発事故による混乱が収まらない中、どんどんと被害が拡大しながら、徐々に生活破綻に直結する雇用問題が不気味に増大してきています。私たち労働生存運動にかかわる人間にとっては、直近の問題の解決をはかるために、一つ一つの責任を明らかにし、具体的な補償や緊急措置を実現しなければならないと考えます。「祈る」ことや「心から応援する」だけでは差し迫る事態に破綻させられるだけです。メディアやネットで流れる情報に一喜一憂していても「情報被曝」するだけです。

本日、全国ユニオンでは「雇用を守る震災ホットライン」を開催しました。あの派遣村をおこなう直接のきっかけとなった緊急派遣切りホットラインのとき以上の数で深刻な内容が浮き彫りになっています。以下、関根副事務局長の「非正規労働通信」より引用です。

【雇用を守る震災ホットライン速報】
今日3/26(土)の「雇用を守る震災ホットライン」には、全国で293件の相談が寄せられました。
年越し派遣村を企画するきっかけとなった2008年11月の「派遣切りホットライン」は、2日間で472件の相談。1日あたりの相談件数では、今回の方が多かったことになります。震災が雇用に与えたインパクは、リーマンショック以上です。16:00現在で集計した150件の内訳を報告します。
●性別:女70 男63 不明17
●年代:10代1 20代14 30代22 40代20 50代8 60歳以上10 不明75
●地域:東京28 宮城22 埼玉11 福島9 神奈川8 他
●雇用形態:派遣55 パート・アルバイト24 正社員20 契約社員7 その他13 不明31
●業種:製造37 販売16 コールセンター11 事務系7 旅行・飲食6 営業6 他
●相談内容(複数分類):休業114 派遣切り・解雇16 時間短縮8 内定取消1 その他18
休業中の賃金保障に関する相談が圧倒的多数を占めています。同じ休業でも、正社員は出勤扱いで賃金保障され、派遣・パート・アルバイトは賃金保障されないという差別の実態が浮き彫りになってます。
元々賃金水準の低い非正規労働者は、無給休業によって即座に生活困窮に陥っています。休業からそのまま派遣切り・解雇に移行するケースも少なくありません。震災に便乗した派遣切り・解雇も目立ちました。また、時間を短縮されることによって収入が減少する非正規労働者の悲鳴が聞かれました。震災便乗解雇・派遣切りや無給休業を規制する緊急対策を国として講じなければ、リーマンショック時の派遣切りを凌ぐ被害が拡大することは間違いありません。すべての集計が終わりましたら、改めて報告します。

【生活を奪う深刻な相談続々】<相談事例1>島根・30代・男性・製造派遣
部品が入らず生産ストップ。3/15から休業。ずるずる延ばされ、3/25には「契約を切る」と言われた。「派遣の場合は休業保障しない」とのこと。年収は120万ぐらいだった。来月から働くところもなく、生活苦しい。<相談事例2>埼玉・40代・女性
夫は製造派遣で自宅待機させられており、給与保障なし。自宅待機は3/14からで、部品が届かないので、自宅待機がいつまで続くかわからないとのこと。自分はパートで、時間を短縮されて収入が大幅減。2年前の悪夢がよみがえる。リーマンショックのときも夫が派遣切りされて言葉にできないほどの苦労をした。小さな子供がいて生活が苦しい。一家心中も考えてしまう。<相談事例3>東京・30代・男性・契約社員・機械製造
直接地震の影響はないが、会社から休むよう言われ、「無給」と発表された。「有休をあててもよい」という。正社員は公休で賃金減額されないのに、非正規だけ扱いが違うのはおかしい。<相談事例4>東京・20代・男性・アルバイト・コールセンター
3/11から自宅待機を命じられた。3/22に会社に集められ、「次を探す人は探してください。残る人は引き続き自宅待機」と言われた。休業補償については「払うとも払わないとも言えない」とのこと。生活できないので退職して他を探すしかないのか。<相談事例5>福島・女性・契約社員
原発の件で福島から東京に避難している。介護施設で働いていたが、会社も福島から撤退したとの話。雇用保険に加入していたので、ハローワークに行ったが、「離職票が必要」と言われた。

【雇用をめぐる震災対策】
計画停電や原材料不足による休業や3月末の派遣切り・解雇に対する緊急な対策が必要です。休業については雇用保険の特例措置と労働基準法に基づく休業手当の狭間に陥る労働者を作らないこと。また、震災便乗の派遣切りや解雇乗を規制するとともに、被災地を中心に公的雇用を創出すること。全国ユニオンは、これらの課題を実現していくため、以下の取り組みを計画しています。

厚生労働省交渉 4/1(金)15:00〜17:00参議員議員会館(14:30集合)
●震災ユニオン(仮称)の結成(近日中)
●被災地における労働相談体制の確立(未定)