【労働】便乗解雇

 2月28日と3月1日の2日間、全国ユニオンなどを中心に各地で開催した「派遣切りホットライン」は、約450件の電話相談が寄せられた。詳細な報告は後日に譲るが、昨年末に開催したホットラインと比較して特徴づけられる大きな違いがあった。それは、昨年末のホットラインで寄せられた相談が自動車などの製造業に派遣される男性労働者がほとんどであったのに対して、今回は女性も多く含む事務派遣労働者への派遣切りが製造業とおおよそ同数であったことである。また、正社員・パートの直接雇用労働者への退職勧奨や解雇などの相談も寄せられた。
 法的にも整理解雇には「4要件」と呼ばれる条件が付せられ、解雇の濫用は厳しく禁じられている。新自由主義政策の導入前にも酷い事例はあったが、ここまで堂々と「まず解雇ありき」となってしまったのかと絶句した。役員報酬・株主配当など経営責任者の取り分をカットしたり、無駄な経費の見直しを行なったり、営業努力を行なうなど、先にやるべきことがたくさんある。しかし、現実の電話相談や組合の団体交渉で知る限り、そのような努力が見られることが少なくなっている。
 昨年「150日闘争」の末に勝利したガソリンスタンドのにーちゃん達の争議で、彼らが解雇されたときは「サブプライムローン問題云々」で解雇しますという書面が送られ、顰蹙を買った。しかし、いまや多くの企業が「世界金融不況」という枕詞で働く者をバサバサ切っている。これを「便乗解雇」と呼ばずしてなんであろう。